銀行法
昭和五十六年六月一日号外法律第五十九号 〔大蔵大臣署名〕 〔昭和二年三月三〇日法律第二一号(銀行法)を全文改正〕 最終改正 平成一二年一一月二九日号外法律第一二九号 〔外国倒産処理手続の承認援助に関する法律附則三条による改正〕 銀行法をここに公布する。
(昭和二年法律第二十一号)の全部を改正する。
第一章 総則 第二章 業務 第二章の二 子会社等 第三章 経理
第四章 監督 第五章 合併、分割又は営業等の譲渡若しくは譲受け 第六章 廃業及び解散
第七章 外国銀行支店
第七章の二 銀行持株会社 第一節 通則 第二節 業務及び子会社等 第三節 経理
第四節 監督 第五節 雑則 第八章 雑則 第九章 罰則
附則
第一章 総則
(目的) 第一条 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
2 この法律の運用に当たつては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。
(定義等) 第二条 この法律において「銀行」とは、第四条第一項の内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。
2 この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。 一 預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。 二 為替取引を行うこと。
3 この法律において「定期積金」とは、期限を定めて一定金額の給付を行うことを約して、定期に又は一定の期間内において数回にわたり受け入れる金銭をいう。
4 この法律において「定期積金等」とは、定期積金のほか、一定の期間を定め、その中途又は満了の時において一定の金額の給付を行うことを約して、当該期間内において受け入れる掛金をいう。
5 この法律において「預金者等」とは、預金者及び定期積金の積金者(前項に規定する掛金の掛金者を含む。)をいう。
6 この法律において「発行済株式の総数等」とは、会社の発行済株式(議決権のあるものに限る。)の総数又は出資の総額をいう。
7 この法律において「株式等」とは、株式(議決権のあるものに限る。)又は持分をいう。
8 この法律において「子会社」とは、会社がその発行済株式の総数等の百分の五十を超える数又は額の株式等を所有する他の会社をいう。この場合において、会社及びその一若しくは二以上の子会社又は当該会社の一若しくは二以上の子会社がその発行済株式の総数等の百分の五十を超える数又は額の株式等を所有する他の会社は、当該会社の子会社とみなす。
9 前項の場合において、会社が所有する株式等には、金銭又は有価証券の信託に係る信託財産として所有する株式等(委託者又は受益者が、議決権を行使し、又は議決権の行使について当該会社に指図を行うことができるものに限る。)その他 内閣府令で定める 株式等を含まないものとし、信託財産である株式等で、当該会社が委託者若しくは受益者として議決権を行使し、又は議決権の行使について指図を行うことができるもの(内閣府令で定める株式等を除く。)を含むものとする。
10 この法律において「持株会社」とは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第九条第三項(持株会社)に規定する持株会社をいう。
11 この法律において「銀行持株会社」とは、銀行を子会社とする持株会社であつて、第五十二条の二第一項の認可を受けて設立され、又は同項若しくは同条第三項ただし書の認可を受けているものをいう。 第三条 預金又は定期積金等の受入れ(前条第二項第一号に掲げる行為に該当するものを除く。)を行う営業は、銀行業とみなして、この法律を適用する。
(営業の免許) 第四条 銀行業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、営むことができない。 2 内閣総理大臣は、銀行業の免許の申請があつたときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。 一 銀行業の免許を申請した者(以下この項において「申請者」という。)が銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、申請者の当該業務に係る収支の見込みが良好であること。 二 申請者が、その人的構成等に照らして、銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること。 三 申請者による銀行の業務の開始が、当該銀行の業務が営まれる地域における資金の需給状況、銀行その他の金融機関の営業状況その他経済金融の状況に照らして、金融秩序を乱すおそれがない等適当なものであること。
3 外国の法令に準拠して外国において銀行業を営む者(その者と政令で定める特殊の関係のある者を含むものとし、銀行等を除く。以下この項において「外国銀行等」という。)をその株主の全部又は一部とする者が銀行業の免許を申請した場合において、当該外国銀行等が当該免許を申請した者の発行済株式の総数に内閣府令で定める率を乗じて得た数を超える株式を適法に保有しているときは、内閣総理大臣は、前項各号に掲げる 基準のほか、当該外国銀行等の主たる営業所が所在する国において、銀行に対し、この法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われると認められるかどうかの審査をしなければならない。ただし、当該審査が国際約束の誠実な履行を妨げることとなる場合 その他の政令で定める場合は、この限りでない。
4 内閣総理大臣は、前二項の規定による審査の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要の限度において、第一項の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。
5 第三項の「銀行等」とは、銀行及び長期信用銀行(長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条(定義)に規定する長期信用銀行をいう。以下同じ。)をいう。
(資本の額) 第五条 銀行は、資本の額が政令で定める額以上の株式会社でなければならない。
2 前項の政令で定める額は、十億円を下回つてはならない。
3 銀行は、その資本の額を減少しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(商号) 第六条 銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない。
2 銀行でない者は、その商号中に銀行であることを示す文字を使用してはならない。
3 銀行は、その商号を変更しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(取締役の兼職の制限) 第七条 銀行の常務に従事する取締役は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除くほか、他の会社の常務に従事してはならない。
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があつたときは、当該申請に係る事項が当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認める場合でなければ、これを認可してはならない。
(営業所の設置等) 第八条 銀行は、支店その他の営業所の設置、位置の変更(本店の位置の変更を含む。)、種類の変更又は廃止をしようとするときは、内閣府令で定める場合を除き、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。代理店の設置又は廃止をしようとするときも、同様とする。
第九条 削除
第二章 業務
(業務の範囲) 第十条 銀行は、次に掲げる業務を営むことができる。 一 預金又は定期積金等の受入れ 二 資金の貸付け又は手形の割引 三 為替取引
2 銀行は、前項各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務その他の銀行業に付随する業務を営むことができる。 一 債務の保証又は手形の引受け 二 有価証券(第五号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するものを除く。第五号の二及び第六号において同じ。)の売買、有価証券店頭デリバティブ取引(有価証券先渡取引を除く。)、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引又は外国市場証券先物取引(投資の目的をもつてするもの又は顧客の書面による注文を受けてその計算においてするものに限る。) 三 有価証券の貸付け 四 国債、地方債若しくは政府保証債(以下この条において「国債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る国債等の募集 の取扱い 五 金銭債権(譲渡性預金証書その他の内閣府令で定める証書をもつて表示されるものを含む。)の取得又は譲渡 五の二 特定目的会社が発行する特定社債(資産流動化計画において当該特定社債の発行により得られる金銭をもつて指名金銭債権又は指名金銭債権を信託する信託の受益権のみを取得するものに限る。)その他これに準ずる有価証券として内閣府令で定めるもの(以下この号において「特定社債等」という。)の引受け(売出しの目的をもつてするものを除く。)又は当該引受けに係る特定社債等の募集の取扱い 六 有価証券の私募の取扱い 七 地方債又は社債その他の債券の募集又は管理の受託 八 銀行その他金融業を行う者の業務の代理(内閣府令で定めるものに限る。) 九 国、地方公共団体、会社等の金銭の収納その他金銭に係る事務の取扱い 十 有価証券、貴金属その他の物品の保護預り 十一 両替 十二 金融先物取引等 十三 金融先物取引等の受託等 十四 金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された数値と将来の一定の時期における現実の当該指標の数値の差に基づいて算出される金銭の授受を約する取引又はこれに類似する取引であつて、内閣府令で定めるもの(次号において「金融等デリバティブ取引」という。)(第五号及び第十二号に掲げる業務に該当するものを除く。)十五 金融等デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理(第十三号に掲げる業務に該当するもの及び内閣府令で定めるものを除く。) 十六 有価証券店頭デリバティブ取引(当該有価証券店頭デリバティブ取引に係る有価証券が第五号に規定する証書をもつて表示される金銭債権に該当するもの以外のものである場合には、差金の授受によつて決済されるものに限る。)(第二号に掲げる業務に該当するものを除く。) 十七 有価証券店頭デリバティブ取引の媒介、取次ぎ又は代理
3 前項第二号、第十六号又は第十七号の「有価証券店頭デリバティブ取引」、「有価証券指数等先物取引」、「有価証券オプション取引」、「外国市場証券先物取引」又は「有価証券先渡取引」とは、それぞれ証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項第三号の二又は第十八項から第二十一項まで(定義)に規定する有価証券店頭デリバティブ取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引又は有価証券先渡取引をいう。
4 第二項第四号の「政府保証債」とは、政府が元本の償還及び利息の支払について保証している社債その他の債券をいう。
5 第二項第五号に掲げる業務には、同号に規定する証書をもつて表示される金銭債権のうち有価証券に該当するものについて、証券取引法第二条第八項各号(定義)に掲げる行為を行う業務を含むものとする。
6 第二項第五号の二の「特定目的会社」、「資産流動化計画」又は「特定社債」とは、それぞれ資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項、第四項又は第七項(定義)に規定する特定目的会社、資産流動化計画又は特定社債をいう。
7 第二項第六号の「有価証券の私募の取扱い」とは、有価証券の私募(証券取引法第二条第三項(定義)に規定する有価証券の私募をいう。)の取扱いをいう。
8 第二項第十二号の「金融先物取引等」又は同項第十三号の「金融先物取引等の受託等」とは、それぞれ金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第二条第九項又は第十項(定義)に規定する金融先物取引等又は金融先物取引等の受託等をいう。
第十一条 銀行は、前条の規定により営む業務のほか、同条第一項各号に掲げる業務の遂行を妨げない限度において、証券取引法第六十五条第二項各号(金融機関の証券業務の特例)に掲げる有価証券又は取引について、同項各号に定める行為を行う業務(前条第二項の規定により営む業務を除く。)を営むことができる。
第十二条 銀行は、前二条の規定により営む業務及び担保附社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)その他の法律により営む業務のほか、他の業務を営むことができない。
(預金者等に対する情報の提供等) 第十二条の二 銀行は、預金又は定期積金等(以下この項において「預金等」という。)の受入れに関し、預金者等の保護に資するため、内閣府令で定めるところにより、預金等に係る契約の内容その他預金者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならない。
2 銀行は、前項に規定する業務以外の業務に関しても、他の法律に別段の定めがあるものを除くほか、内閣府令で定めるところにより、その業務に係る重要な事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。
(同一人に対する信用の供与等) 第十三条 銀行の同一人(当該同一人と政令で定める特殊の関係のある者を含む。以下この条において同じ。)に対する信用の供与等(信用の供与又は出資として政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の額は、政令で定める区分ごとに、当該銀行の自己資本の額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。ただし、信用の供与等を受けている者が合併をし、共同新設分割(法人が他の法人と共同してする新設分割をいう。第十六条の三第四項第四号及び第五十二条の六第一項において同じ。)若しくは吸収分割をし、又は営業を譲り受けたことにより銀行の同一人に対する信用の供与等の額が信用供与等限度額を超えることとなる場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合において、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 銀行が子会社(内閣府令で定める会社を除く。)その他の当該銀行と内閣府令で定める特殊の関係のある者(以下この条において「子会社等」という。)を有する場合には、当該銀行及び当該子会社等又は当該子会社等の同一人に対する信用の供与等の額は、政令で定める区分ごとに、合算して、当該銀行及び当該子会社等の自己資本の純合計額に政令で定める率を乗じて得た額(以下この条において「合算信用供与等限度額」という。)を超えてはならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、国及び地方公共団体に対する信用の供与、政府が元本の返済及び利息の支払について保証している信用の供与その他これらに準ずるものとして政令で定める信用の供与等については、適用しない。
4 第二項の場合において、銀行及びその子会社等又はその子会社等の同一人に対する信用の供与等の合計額が合算信用供与等限度額を超えることとなつたときは、その超える部分の信用の供与等の額は、当該銀行の信用の供与等の額とみなす。
5 前各項に定めるもののほか、信用の供与等の額、第一項に規定する自己資本の額、信用供与等限度額、第二項に規定する自己資本の純合計額及び合算信用供与等限度額の計算方法その他第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(特定関係者との間の取引等) 第十三条の二 銀行は、その特定関係者(当該銀行の子会社、当該銀行を子会社とする銀行持株会社、当該銀行持株会社の子会社(当該銀行を除く。)その他の当該銀行と政令で定める特殊の関係のある者をいう。以下この条において同じ。)又はその特定関係者の顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引又は行為をすることにつき内閣府令で定めるやむを得ない理由がある場合において、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。 一 当該特定関係者との間で行う取引で、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものとして内閣府令で定める取引 二 当該特定関係者との間又は当該特定関係者の顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、当該銀行の業務の健全かつ適切な遂行に支障を及ぼすおそれのあるものとして内閣府令で定める取引又は行為
(取締役に対する信用の供与) 第十四条 銀行の取締役が当該銀行から受ける信用の供与については、その条件が、当該銀行の信用の供与の通常の条件に照らして、当該銀行に不利益を与えるものであつてはならない。
2 銀行の取締役が当該銀行から信用の供与を受ける場合における商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百六十五条第一項(取締役と会社間の取引)の規定による取締役会の承認は、同法第二百六十条ノ二第一項(取締役会の決議方法)の規定にかかわらず、取締役の過半数が出席しその取締役の三分の二以上の多数をもつてしなければならない。
(経営の健全性の確保) 第十四条の二 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全な運営に資するため、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。 一 銀行の保有する資産等に照らし当該銀行の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準 二 銀行及びその子会社その他の当該銀行と内閣府令で定める特殊の関係のある会社(以下この号、第三章及び第四章において「子会社等」という。)の保有する資産等に照らし当該銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
(休日及び営業時間) 第十五条 銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。
2 銀行の営業時間は、金融取引の状況等を勘案して内閣府令で定める。
(臨時休業等) 第十六条 銀行は、内閣府令で定める場合を除き、天災その他のやむを得ない理由によりその営業所又はその代理店の営業所において臨時にその業務の全部又は一部を休止するときは、直ちにその旨を、理由を付して内閣総理大臣に届け出るとともに、公告し、かつ、当該営業所又は当該代理店の営業所の店頭に掲示しなければならない。銀行が臨時にその業務の全部又は一部を休止した営業所又はその代理店の営業所においてその業務の全部又は一部を再開するときも、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、銀行又はその代理店の無人の営業所その他の内閣府令で定める営業所については、同項の規定による公告は、することを要しない。
第二章の二 子会社等
(銀行の子会社の範囲等) 第十六条の二 銀行は、次に掲げる会社(以下この条において「子会社対象会社」という。)以外の会社を子会社としてはならない。 一 銀行 二 長期信用銀行 三 証券取引法第二条第九項(定義)に規定する証券会社のうち、証券業(同条第八項各号(定義)に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。以下同じ。)のほか、同法第三十四条第一項各号(業務)に掲げる業務その他の内閣府令で定める業務を専ら営むもの(以下「証券専門会社」という。) 四 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項(定義)に規定する保険会社(以下「保険会社」という。) 五 銀行業を営む外国の会社 六 証券業を営む外国の会社(前号に掲げる会社に該当するものを除く。) 七 保険業(保険業法第二条第一項(定義)に規定する保険業をいう。以下同じ。)を営む外国の会社(第五号に掲げる会社に該当するものを除く。) 八 従属業務を専ら営む会社であつて、主として当該銀行又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいる会社(主として当該銀行の一の子会社の営む業務のため従属業務を営んでいる会社(以下この号及び次条において「特定従属会社」という。)にあつては、当該特定従属会社の株式等を、当該銀行又はその子会社(当該一の子会社(同条第七項第一号において「従属先子会社」という。)を除く。)が、合算して、基準株式数等(同条第一項に規定する基準株式数等をいう。第十号において同じ。)を超えて所有していないものに限る。) 九 金融関連業務を専ら営む会社(証券専門関連業務を営む会社(保険専門関連業務を営むものを除く。)にあつては当該会社の株式等を、当該銀行の証券子会社等が合算して、当該銀行又はその子会社(証券子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えて所有しているものに、保険専門関連業務を営む会社(証券専門関連業務を営むものを除く。)にあつては当該会社の株式等を、当該銀行の保険子会社等が合算して、当該銀行又はその子会社(保険子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えて所有しているものにそれぞれ限るものとし、証券専門関連業務及び保険専門関連業務のいずれをも営む会社にあつては、当該会社の株式等を、当該銀行の証券子会社等が合算して、当該銀行又はその子会社(証券子会社等及び保険子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えて所有し、かつ、当該銀行の保険子会社等が合算して、当該銀行又はその子会社(証券子会社等及び保険子会社等を除く。)が合算して所有する当該会社の株式等の数又は額を超えて所有しているものに限るものとする。) 十 新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社(当該会社の株式等を、当該銀行又はその子会社のうち前号に掲げる会社で内閣府令で定めるもの(次条第七項第二号において「特定子会社」という。)以外の子会社が、合算して、基準株式数等を超えて所有していないものに限る。) 十一 前各号に掲げる会社のみを子会社とする持株会社で内閣府令で定めるもの(当該持株会社になることを予定している会社を含む。)
2 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 従属業務 銀行又は前項第二号から第七号までに掲げる会社の営む業務に従属する業務として内閣府令で定めるもの 二 金融関連業務 銀行業、証券業又は保険業に付随し、又は関連する業務として内閣 府令で定めるもの 三 証券専門関連業務 専ら証券業に付随し、又は関連する業務として内閣府令で定めるもの 四 保険専門関連業務 専ら保険業に付随し、又は関連する業務として内閣府令で定めるもの 五 証券子会社等 銀行の子会社である次に掲げる会社 イ 証券専門会社又は証券業を営む外国の会社 ロ イに掲げる会社を子会社とする前項第十一号に掲げる持株会社 ハ その他の会社であつて、当該銀行の子会社である証券専門会社の子会社のうち内閣府令で定めるもの 六 保険子会社等 銀行の子会社である次に掲げる会社 イ 保険会社又は保険業を営む外国の会社 ロ イに掲げる会社を子会社とする前項第十一号に掲げる持株会社 ハ その他の会社であつて、当該銀行の子会社である保険会社の子会社のうち内閣府令で定めるもの
3 第一項の規定は、子会社対象会社以外の会社が、銀行又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の内閣府令で定める事由により当該銀行の子会社となる場合には、適用しない。ただし、当該銀行は、その子会社となつた会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
4 銀行は、子会社対象会社のうち、第一項第一号から第九号まで又は第十一号に掲げる会社(主として当該銀行の営む業務のために従属業務(第二項第一号に掲げる従属業務をいう。第七項において同じ。)を営んでいる会社を除く。以下この条及び次条第四項第一号において「子会社対象銀行等」という。)を子会社としようとするときは、第三十条第一項から第四項まで又は金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第六条第一項(認可)の規定により合併、分割又は営業若しくは事業の譲受けの認可を受ける場合を除き、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
5 前項の規定は、子会社対象銀行等が、銀行又はその子会社の担保権の実行による株式等の取得その他の内閣府令で定める事由により当該銀行の子会社となる場合には、適用しない。ただし、当該銀行は、その子会社となつた子会社対象銀行等を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、当該子会社対象銀行等が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
6 第四項の規定は、銀行が、その子会社としている第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(子会社対象銀行等に限る。)に該当する子会社としようとするときについて準用する。
7 第一項第八号又は第四項の場合において、会社が主として銀行若しくはその子会社、銀行の一の子会社又は銀行の営む業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準は内閣総理大臣が定める。
(銀行等による株式の取得等の制限) 第十六条の三 銀行又はその子会社は、国内の会社(前条第一項第一号から第四号までに掲げる会社、同項第八号に掲げる会社(特定従属会社を除く。)並びに同項第九号及び第十一号に掲げる会社を除く。以下この条において同じ。)の株式等については、合算して、その基準株式数等(当該国内の会社の発行済株式の総数等に百分の五を乗じて得た株式等の数又は額をいう。以下この条において同じ。)を超える数又は額の株式等を取得し、又は所有してはならない。
2 前項の規定は、銀行又はその子会社が、担保権の実行その他の内閣府令で定める事由により、国内の会社の株式等をその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなる場合には、適用しない。ただし、当該銀行又はその子会社は、合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなつた部分の株式等については、当該銀行があらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた場合を除き、その取得し、又は所有することとなつた日から一年を超えてこれを所有してはならない。
3 前項ただし書の場合において、内閣総理大臣がする同項の承認の対象には、銀行又はその子会社が国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて取得し、又は所有することとなつた株式等のうち当該百分の五十を超える部分の株式等は含まれないものとし、内閣総理大臣が当該承認をするときは、銀行又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて取得し、又は所有することとなつた株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を速やかに処分することを条件としなければならない。
4 銀行又はその子会社は、次の各号に掲げる場合には、第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に所有することとなる国内の会社の株式等がその基準株式数等を超える場合であつても、同日以後、当該株式等をその基準株式数等を超えて所有することができる。ただし、内閣総理大臣は、銀行又はその子会社が、次の各号に掲げる場合に国内の会社の株式等を合算してその発行済株式の総数等の百分の五十を超えて所有することとなるときは、当該各号に規定する認可(第四号に該当する場合には、免許。次項において同じ。)をしてはならない。 一 前条第四項の認可を受けて当該銀行が子会社対象銀行等を子会社としたとき(内閣府令で定める場合に限る。)。 その子会社とした日 二 第三十条第一項又は金融機関の合併及び転換に関する法律第六条第一項(認可)の認可を受けて当該銀行が合併により設立されたとき。 その設立された日 三 当該銀行が第三十条第一項又は金融機関の合併及び転換に関する法律第六条第一項(認可)の認可を受けて合併をしたとき(当該銀行が存続する場合に限る。)。 その合併をした日 四 第三十条第二項の認可を受けて共同新設分割により設立された会社が第四条第一項 の免許を受けて当該銀行になつたとき。 その免許を受けた日 五 当該銀行が第三十条第二項の認可を受けて吸収分割により営業を承継したとき(内閣府令で定める場合に限る。)。 その分割をした日 六 当該銀行が第三十条第三項又は第四項の認可を受けて営業又は事業の譲受けをしたとき(内閣府令で定める場合に限る。)。 その営業又は事業の譲受けをした日
5 内閣総理大臣は、前項各号に規定する認可をするときは、当該各号に定める日に銀行又はその子会社が合算してその基準株式数等を超えて所有することとなる国内の会社の株式等のうちその基準株式数等を超える部分の株式等を、同日から五年を経過する日までに内閣総理大臣が定める基準に従つて処分することを条件としなければならない。
6 銀行又はその子会社が、国内の会社の株式等を合算してその基準株式数等を超えて所有することとなつた場合には、その超える部分の数又は額の株式等は、当該銀行が取得し、又は所有するものとみなす。
7 前各項の場合において、次の各号に掲げる会社の株式等の取得又は所有については、当該各号に定める会社は、銀行の子会社に該当しないものとみなす。 一 特定従属会社 従属先子会社 二 新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社 特定子会社
8 第二条第九項の規定は、前各項の場合において銀行又はその子会社が取得し、又は所有する株式等について準用する。
第三章 経理
(営業年度) 第十七条 銀行の営業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
(特定取引勘定) 第十七条の二 銀行は、特定取引(銀行が次に掲げる目的で自己の計算において行う取引であつて、第十条第二項第十二号に規定する金融先物取引等その他内閣府令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)及び特定取引の対象となる財産をその他の取引及び財産と区別して経理するため、内閣総理大臣の認可を受けて、内閣府令で定めるところにより特別の勘定(以下この条において「特定取引勘定」という。)を設けることができる。 一 金利、通貨の価格、有価証券市場における相場その他の指標に係る短期的な変動、市場間の格差等を利用して利益を得ること。 二 前号の目的で行う特定取引により生じ得る損失を減少させること。
2 前項の認可を受けて特定取引勘定を設けた銀行は、特定取引勘定に属するものとして経理された有価証券その他内閣府令で定める財産について、商法第二百八十五条ノ二(流動資産の評価)、第二百八十五条ノ四(金銭債権の評価)及び第二百八十五条ノ五(社債の評価)の規定にかかわらず、内閣府令で定めるところにより時価を付さなければならない。 3 第一項の認可を受けて特定取引勘定を設けた銀行は、特定取引のうち内閣府令で定めるもので営業年度終了の時において決済されていないものがあるときは、当該特定取引を当該営業年度終了の時において決済したものとみなして、当該営業年度の損益の計算をしなければならない。この場合において、当該特定取引について当該営業年度の利益又は損失とすることを相当とする額は、内閣府令で定めるところにより算定するものとする。
(利益準備金の積立て) 第十八条 銀行は、 その資本の額に達するまでは、毎決算期に利益の処分として支出する金額の五分の一以上を、商法第二百九十三条ノ五第一項(中間配当)の金銭の分配を行うごとにその分配額の五分の一をそれぞれ利益準備金として積み立てなければならない。
(業務報告書等) 第十九条 銀行は、営業年度ごとに、業務及び財産の状況を記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
2 銀行が子会社等を有する場合には、当該銀行は、営業年度ごとに、前項の報告書のほか、当該銀行及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結して記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
3 前二項の報告書の記載事項、提出期日その他これらの報告書に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(貸借対照表等の公告) 第二十条 銀行は、営業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、貸借対照表及び損益計算書を作成して、当該営業年度経過後三月以内に公告しなければならない。ただし、やむを得ない理由により当該三月以内にこれらの書類の公告をすることができない場合には、内閣総理大臣の承認を受けて、当該公告を延期することができる。
2 銀行が子会社等を有する場合には、当該銀行は、営業年度ごとに、前項の貸借対照表及び損益計算書のほか、内閣府令で定めるところにより、当該銀行及び当該子会社等につき連結して記載した貸借対照表及び損益計算書を作成して、当該営業年度経過後三月以内に公告しなければならない。この場合においては、同項ただし書の規定を準用する。
(業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等) 第二十一条 銀行は、営業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを記載した説明書類を作成し、当該銀行(代理店を含む。)の営業所(無人の営業所その他の内閣府令で定める営業所を除く。次項において同じ。)に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。前条第一項の規定により作成した書類についても、同様とする。
2 銀行が子会社等を有する場合には、当該銀行は、営業年度ごとに、当該銀行及び当該子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として内閣府令で定めるものを当該銀行及び当該子会社等につき連結して記載した説明書類を作成し、前項前段の規定により作成した書類とともに当該銀行(代理店を含む。)の営業所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。前条第一項及び第二項の規定により作成した書類についても、同様とする。
3 前二項に定めるもののほか、第一項又は前項の書類を公衆の縦覧に供する期間その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、内閣府令で定める。 銀行は、第一項又は第二項に規定する事項のほか、預金者その他の顧客が当該銀行及びその子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。
(営業報告書等の記載事項) 第二十二条 銀行が商法第二百八十一条第一項(計算書類の作成)の規定により作成する営業報告書及び附属明細書の記載事項は、内閣府令で定める。
(株主等の帳簿閲覧権の否認) 第二十三条 商法第二百九十三条ノ六(株主の帳簿閲覧権)、第二百九十三条ノ八(親会社の株主の帳簿閲覧権)及び有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第四十四条ノ三(親会社の社員の帳簿閲覧権)の規定は、銀行の会計の帳簿及び書類については、適用しない。
第四章 監督
(報告又は資料の提出) 第二十四条 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、銀行(代理店を含む。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該銀行の子会社に対し、当該銀行の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 銀行の子会社は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
(立入検査) 第二十五条 内閣総理大臣は、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に銀行(代理店を含む。)の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に銀行の子会社の施設に 立ち入らせ、銀行に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書 類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 前条第三項の規定は、第二項の規定による銀行の子会社に対する質問及び検査について準用する。
(業務の停止等) 第二十六条 内閣総理大臣は、銀行の業務若しくは財産又は銀行及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該銀行に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該銀行の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して当該銀行の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは当該銀行の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2 前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。)であつて、銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況によつて必要があると認めるときにするものは、内閣府令・財務省令で定める銀行又は銀行及びその子会社等の自己資本の充実の状況に係る区分に応じ、それぞれ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。
(免許の取消し等) 第二十七条 内閣総理大臣は、銀行が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該銀行に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役若しくは監査役の解任を命じ、又は第四条第一項の免許を取り消すことができる。
第二十八条 内閣総理大臣は、前二条の規定により、銀行に対し、その業務の全部又は一部の停止を命じた場合において、その整理の状況に照らして必要があると認めるときは第四条第一項の免許を取り消すことができる。
(資産の国内保有) 第二十九条 内閣総理大臣は、預金者等の保護その他公益のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、政令で定めるところにより、銀行に対し、その資産のうち政令で定めるものを国内において保有することを命ずることができる。
第五章 合併、分割又は営業等の譲渡若しくは譲受け
(合併、分割又は営業等の譲渡若しくは譲受けの認可等) 第三十条 銀行を全部又は一部の当事者とする合併(当該合併後存続する会社又は当該合併により設立される会社が銀行であるものに限るものとし、金融機関の合併及び転換に関する法律第三条(合併)の規定による合併に該当するものを除く。以下この章において「合併」という。)は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 銀行を当事者とする分割は、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 銀行を当事者とする営業の全部又は一部の譲渡又は譲受けは、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 銀行は、信用金庫、信用協同組合又は労働金庫(これらの法人をもつて組織する連合会を含む。以下この章において「信用金庫等」という。)から事業の全部又は一部を譲り受けることができる。ただし、当該事業の全部又は一部の譲受けは、政令で定めるものを除き、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5 前項の規定により銀行が信用金庫等から事業の全部又は一部を譲り受ける場合においては、当該信用金庫等を会社とみなして、商法第二百四十五条及び同条に係る同法の規定並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十六条(営業の譲受け等の制限)及び同条に係る同法の規定を適用する。
第三十一条 内閣総理大臣は、前条の認可の申請があつたときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。 一 前条の規定による合併、分割、営業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け又は 事業の全部若しくは一部の譲受け(以下この条において「合併等」という。)が、当該合併等の当事者である銀行等(第四条第五項に規定する銀行等をいう。以下同じ。 )又は信用金庫等が業務を行つている地域(分割により営業の一部を承継させ、若しくは承継する場合又は営業の一部の譲渡若しくは譲受け若しくは事業の一部の譲受けに係る場合にあつては、当該一部の営業又は事業が行われている地域に限る。)にお ける資金の円滑な需給及び利用者の利便に照らして、適当なものであること。 二 合併等が金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないものであること。 三 前条の認可の申請をした銀行又は合併により設立される銀行が、合併等の後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
(みなし免許) 第三十二条 第三十条第一項の認可を受けて合併により設立される銀行業を営む会社は、当該設立の時に、第四条第一項の内閣総理大臣の免許を受けたものとみなす。
(合併の場合の債権者の異議の催告) 第三十三条 銀行が合併の決議をした場合においては、預金者等その他政令で定める債権者に対する商法第四百十二条第一項(債権者の異議)の規定による催告は、することを要しない。
(会社の分割の場合の債権者の異議の催告) 第三十三条の二 銀行が会社の分割の決議をした場合においては、預金者等その他政令で定める債権者に対する商法第三百七十四条ノ四第一項又は第三百七十四条ノ二十第一項(債権者の異議)の規定による催告は、することを要しない。
2 商法第三百七十四条ノ十第二項又は第三百七十四条ノ二十六第二項(分割の効力)の規定は、前項の規定により催告をすることを要しないものとされる預金者等その他政令で定める債権者には適用しない。
(営業等の譲渡又は譲受けの場合の債権者の異議の催告等) 第三十四条 銀行を当事者とする営業の全部の譲渡若しくは譲受け又は銀行の信用金庫等からの事業の全部の譲受けについて株主総会の決議(商法第二百四十五条ノ五(簡易な営業の譲受けの手続)(第三十条第五項の規定により信用金庫等を会社とみなして適用する場合を含む。)の規定により商法第二百四十五条第一項(営業の譲渡又は譲受け等)の決議によらずに営業又は事業の全部の譲受けを行う場合には、取締役会の決議)がされたときは、当該銀行は、当該決議の日から二週間以内に、当該決議の要旨及び当該営業の全部の譲渡若しくは譲受け又は事業の全部の譲受けに異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 債権者が第一項の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該営業の全部の譲渡若しくは譲受け又は事業の全部の譲受けを承認したものとみなす。
4 債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、当該銀行は、弁済し、又は相当の担保を提供し、若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む他の銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該営業の全部の譲渡若しくは譲受け又は事業の全部の譲受けをしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第三十五条 銀行を当事者とする営業の一部の譲渡若しくは譲受け又は銀行の信用金庫等からの事業の一部の譲受けについて株主総会又は取締役会の決議がされたときは、当該銀行は、当該決議の日から二週間以内に、当該決議の要旨及び当該営業の一部の譲渡若しくは譲受け又は事業の一部の譲受けに異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告することができる。ただし、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
2 前項の期間は、一月を下つてはならない。
3 前条第三項及び第四項の規定は、第一項の規定によりされた公告及び催告に係る債権者の異議について準用する。
(分割又は営業の譲渡の公告等) 第三十六条 銀行は、分割により営業の全部若しくは一部を承継させ、又は営業の全部若しくは一部を譲渡したときは、遅滞なくその旨を公告しなければならない。
2 前項の規定による公告がされたときは、当該公告をした銀行の債務者に対して民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百六十七条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定による確定日付のある証書による通知があつたものとみなす。この場合においては、当該公告の日付をもつて確定日付とする。
第六章 廃業及び解散
(廃業及び解散等の認可) 第三十七条 次に掲げる事項は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 一 銀行業の廃止に係る定款の変更についての株主総会の決議 二 銀行を全部又は一部の当事者とする合併(第三十条第一項に規定する合併及び金融機関の合併及び転換に関する法律第三条(合併)の規定による合併に該当するものを 除く。) 三 銀行の解散についての株主総会の決議
2 内閣総理大臣は、前項の認可の申請があつたときは、次に掲げる基準のいずれかに適合するかどうかを審査しなければならない。 一 当該銀行業の廃止、合併又は解散が当該銀行の業務及び財産の状況に照らしてやむを得ないものであること。 二 当該銀行業の廃止、合併又は解散が、当該銀行が業務を営んでいる地域における資金の円滑な需給及び利用者の利便に支障を及ぼすおそれのないものであること。
3 内閣総理大臣は、第二十六条第一項又は第二十七条の規定による業務の全部又は一部の停止の命令をした銀行から第一項の認可の申請があつた場合においては、当該銀行に対し、同項の認可をしてはならない。これらの命令をすること又は同条の規定により第四条第一項の免許を取り消すことが必要であると認める銀行から第一項の認可の申請があつた場合も、同様とする。
(廃業等の公告等) 第三十八条 銀行は、前条第一項の認可を受けたときは、内閣府令で定めるところにより、直ちに、その旨及び当該認可を受けた事項の内容を公告するとともに、一月を下らない期間、すべての営業所(代理店の営業所を含む。)の公衆の目につきやすい場所に掲示しなければならない。
(定款の解散原因の規定の効力) 第三十九条 銀行は、商法第四百四条(解散の原因)の規定にかかわらず、同法第九十四条第一号(解散の原因)に掲げる事由によつては、解散しない。
(免許の取消しによる解散) 第四十条 銀行は、第二十七条又は第二十八条の規定により第四条第一項の内閣総理大臣の免許を取り消されたときは、解散する。
(免許の失効) 第四十一条 銀行が次の各号のいずれかに該当するときは、第四条第一項の内閣総理大臣の免許は、効力を失う。 一 銀行業の全部を廃止したとき。 二 分割により営業の全部を承継させ、又は営業の全部を譲渡したとき。 三 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により銀行を設立するものに限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。 四 当該免許を受けた日から六月以内に業務を開始しなかつたとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けたときを除く。)。
(免許の取消し等の場合のみなし銀行) 第四十二条 銀行が第二十七条若しくは第二十八条の規定により第四条第一項の内閣総理大臣の免許を取り消された場合又は前条の規定により当該免許が効力を失つた場合においては、当該銀行であつた会社は、第三十六条、第三十八条及び第四十六条第一項の規定の適用については、なお銀行とみなす。
(他業会社への転移等) 第四十三条 銀行が第四十一条第一号の規定に該当して第四条第一項の内閣総理大臣の免許が効力を失つた場合において、当該銀行であつた会社に従前の預金又は定期積金等の債務が残存するときは、政令で定める場合を除き、内閣総理大臣は、当該会社が当該債務を完済する日又は当該免許が効力を失つた日以後十年を経過する日のいずれか早い日まで、当該会社に対し、当該債務の総額を限度として財産の供託を命じ、又は預金者等の保護を図るため当該債務の処理若しくは資産の管理若しくは運用に関し必要な命令をすることができる。
2 前項の規定は、銀行等以外の会社が合併又は分割により銀行の預金又は定期積金等の債務を承継した場合について準用する。
3 第二十四条第一項並びに第二十五条第一項、第三項及び第四項の規定は、前二項の規定の適用を受ける会社について準用する。
(清算人の任免) 第四十四条 銀行が第四条第一項の内閣総理大臣の免許の取消しにより解散した場合には、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により又は職権をもつて、清算人を選任する。当該清算人の解任についても、同様とする。
2 前項の場合を除くほか、裁判所は、利害関係人若しくは内閣総理大臣の請求により又は職権をもつて、清算人を解任することができる。この場合においては、裁判所は、清算人を選任することができる。
(清算の監督) 第四十五条 裁判所は、銀行が解散した場合において、当該銀行であつた会社の清算事務及び財産の状況を検査するとともに、当該会社に対し、財産の供託を命じ、その他清算の監督に必要な命令をすることができる。
(清算手続等における内閣総理大臣の意見等) 第四十六条 裁判所は、銀行の清算手続、破産手続、再生手続、整理手続、更生手続又は承認援助手続において、内閣総理大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。
3 第二十五条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の規定により内閣総理大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。
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